トンボの體(トンボの体)


▼  體のしくみ - 成蟲の食事のしかた - 幼蟲・ヤゴの體

體のしくみ(体のしくみ)

トンボの體内(体内)にも血液が流れているが、ヘモグロビンは含まれてゐない(いない)。 その爲(為)、血液は赤くなく、榮養(栄養)は運んでゐるが(いるが)酸素は運んでゐない(いない)
※エビやカニなどは、ヘモグロビンの代はり(代わり)に ヘモシアニンが酸素を運んでゐる(いる)。ヘモシアニンが含まれる血液は青い。
昆蟲(昆虫)の場合、血液ではなく體液(体液)と呼ぶことが多い。
幼蟲(幼虫)から成蟲(成虫)になる際、縮んでいる翅が伸びるのは、この體液(体液)を 翅脈に流し込んでいるからだと言はれる(言われる)
背脈管(ヒトの心臟(心臓)にあたる部分)などの内臟(内臓)は、 全て腹部にある(腹部にあるので内臟(内臓)は細長い)。
胸部にあるのは翅を動かすための筋肉。この筋肉は、翅の數(数)と同じ4つの塊になってゐる(いる)ので、トンボは4枚の翅を別々に動かすことができる。

トンボは氣門(気門)と呼ばれる穴を持ってゐて(いて)、ここで呼吸してゐる(いる)
氣門(気門)から取り入れた酸素は氣管(気管)を通って全身へ行く。このしくみを氣管系(気管系)といふ(いう)

昆蟲(昆虫)であるトンボには骨がない。體(体)外骨格(體(体)の表面の固い部分)で支へてゐる(支えている)

トンボの複眼は、6角形の目(個眼)が何萬個(何万個)も集まって出來てゐる(出来ている)
また、複眼の他に、單眼(単眼)といふ(いふ)目も持ってゐる(いる)。(單眼(単眼)は「暗闇で光を感じるための眼」だと言はれてゐる(言われている)。)

トンボは、複眼の上の方で遠くを 下の方で近くを見てゐる(いる)と考へ(考え)られてゐる(いる)
昆蟲(昆虫)には、赤外線や紫外線が見えるものもゐる(いる)とされてゐた(いた)が、トンボの場合は、特に"眼がいい"ことが 遺傳子(遺伝子)解析で分かってきてゐる(いる) *¹。
オプシン遺傳子(遺伝子)と呼ばれる、光センサーを作る遺傳子(遺伝子)が、トンボには數十種類(数十種類)ある。 (種によって差はあるものの、アキアカネでは20種類、ギンヤンマでは33種類、ださうだ(そうだ)。 ちなみに、ヒトが持つのは 原則、赤青緑に反應(反応)する3種類である爲(為)、我々は 赤外線などは見ることが出來ない(出来ない)。)
なほ(なお)、トンボの複眼をよく見ると、上部(背中側)と下部(腹側)で 色が違ふ(違う)ものも多い。 これも、色覺(色覚)(=光センサー)遺傳子(遺伝子)と關係(関係)があるやうで(ようで)、 上部と下部でセンサーの種類に差がある。上部では 紫外線(300nm)〜青緑系(500nm)のセンサーが多く、下部は 紫外線から赤系(620nm)の色まで 色覺(色覚)の幅が廣く(広く)なってゐる(いる)。 (なほ(なお)、上部の個眼の方が、1つ1つが大きい。)
また、幼蟲(幼虫)(ヤゴ)時代と 成蟲(成虫)時代でも、使ひ分けて(使い分けて)ゐる(いる)
(アキアカネの場合、成蟲(成虫)は 複眼上部に 紫外線用が1つ、短波長用が3つ、長波長用が1つ。下部には 上部と同じ紫外線用が1つ、他に 短波長用が1つ、長波長用が5つ。單眼(単眼)には 長波長が1つ。 ヤゴには 紫外線用はなく、短波長用が1つと、長波長用が3つ。更に 非視覺(非視覚)型が4つあり、幼蟲(幼虫)から成蟲(成虫)時代までで 計20種類を使ひ(使い)分けてゐる(いる)。)
なんにせよ、ヒトの見てゐる(いる)ものとは 違ふ(違う)景色が映ってゐる(いる)のは確かなやうだ(ようだ)

參考(参考)
産業技術総合研究所 トンボは異なる光環境ごとに光センサーを使い分けている (別サイト、別窓表示)

トンボの肢は 籠のやうに(ように)なってゐて(いて)、包み込むやうに(ように)して獲物を捕へる(捕える)
肢には棘(とげ)があるが、これは獲物を逃がさない爲(為)の"返し"。 前肢の脛節にある細かいもの(右寫眞(写真)の矢印)はクリーニング用。

關聯(関連)ページ: トンボの體の各部名稱(トンボの体の各部名称)(別窓)


成蟲の食事のしかた(成虫の食事のしかた)

籠状の肢で捕へた(捕えた)獲物は、最初に嚙み(噛み)ついたところから、前へ前へと進みながら嚙み碎く(噛み砕く)
嚙んだ(噛んだ)そばから 飮み(飲み)込むのではなく、一旦、下唇(かしん)を受け皿にて 團子狀(団子状)に溜めておく。
一通り嚙み終は(噛み終わ)ったら、下唇に溜めてゐた(いた)ものを 小顎を使って少しづつ(ずつ)戾し(戻し)ながら、さらに細かく碎いて(砕いて) 飮み(飲み)込む。

捕食時のトンボの顎の動き

なほ(なお)、トンボのフンは 細長い棒狀(棒状)で、乾いた粘土のやうに(ように)脆い。 (水をたくさん飮ませる(飲ませる)と 液體(液体)成分が多くなる。)
フンは 種類を問はず(問わず) ややピンクがかった色をしてゐる(いる)ことが多い。


幼蟲・ヤゴの體(幼虫・ヤゴの体)

ヤゴの背中には、翅芽と呼ばれる成蟲(成虫)になったときに翅になるものがある。
イトトンボのヤゴは、尾鰓(びさい)と呼ばれるエラを持つ。
尾鰓を持たないヤゴは、體内(体内)直腸鰓(ちょくちやう(ちょくちょう)さい、直腸氣管鰓(直腸気管鰓)とも言ふ(言う))で呼吸する。
トンボは幼蟲(幼虫)から成蟲(成虫)になるとき、呼吸の方法も、エラから氣門(気門)に變はる(変わる)。 この切り替へ(切り替え)に失敗すると死んでしまふ(しまう)

ヤゴは、鋭いアゴ =下唇(かしん)を持ってゐる(いる)
普段は折りたたまれてゐて(いて)獲物を見つけると素早く伸ばして捕へる(捕える)のだが、ヤゴは動いゐる(いる)ものしか獲物として見ない。
タガメなどは獲物の體液(体液)を吸ふ(吸う)だけだが、ヤゴは肉食なので獲物は"食べる"。 ヒメダカが跡形も無く消えてゐる(いる)ところを見ると、骨まで碎いて(砕いて)食べてゐるやうだ(いるようだ)

ちなみに、ヤゴは夜行性らしい。水槽の中のヤゴを見ている限りでは、あまり さう(そう)は思へない(思えない)が。

關聯(関連)ページ: トンボの體の各部名稱(トンボの体の各部名称)(別窓)


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