蜻蛉目 / トンボ目 (とんぼ-もく)
 Ordo Odonata Fabricius, 1793

4枚の翅と 細長い腹部を持つ昆蟲(昆虫)。 幼蟲(幼虫)は ヤゴと呼ばれ、ほとんどが水中で生活する。
分類上は、 動物界 Regnum Animalia、節足動物門 Phylum Arthropoda、昆蟲綱(昆虫綱)Classis Insectaに屬し(属し)、 この地球上で 約5300種500亞種(亜種)が確認されてゐる(いる)。(絕滅種(絶滅種)は含まない。)
昆蟲(昆虫)としては 早い段階で出現した 原始的なグループ。

〜トンボの特徴〜

1. 頭部(X)、胸部(Y)、腹部(Z)がある。
2. 4枚の翅を持ち、その翅には 結節(結節)(A)がある。※


翅の前縁、中央附近(付近)にある、ヘコんだやうに(ように)なってゐる(いる)部分が 結節(結節)
縁紋(B)は、ほとんどのトンボが持つが、一部の種類には無い。

カゲロフ(カゲロウ)や アリヂゴク(アリジゴク)の成蟲(成虫)であるウスバカゲロフ(ウスバカゲロウ)などは、 一見 トンボに見えるが、別の種類である。


がっしりとした體格(体格) 不均翅亞目(不均翅亜目)
細くスラっとした姿の 均翅亞目(均翅亜目)
中間的な特徴を持つ ムカシトンボ亞目(ムカシトンボ亜目)
大きく この3つのグループに分けられる。

上記の結節(結節)の他、トンボの翅には、 不均翅亞目(不均翅亜目)なら 三角室、均翅亞目(均翅亜目)とムカシトンボ亞目(ムカシトンボ亜目)には 四角室と呼ばれる、 特徴的な脈の形がある。

 
 
 
 不均翅亞目(不均翅亜目) / トンボ亞目(トンボ亜目)
 Subordo Anisoptera Selys, 1854

1. 前後の翅の形が違ふ(違う)
2. 腹部の太さが一定でない。
3. 複眼は、顏(顔)の側面を覆ふやうに(覆うように)大きい。

休む際には 翅を開いたまま止まる。(自力で翅を閉じることが出來ない(出来ない)。)


ヤンマ上科
Superfamilia Aeshnoidea Leach, 1815

 ヤンマ科
 Familia Aeshnidae Burmeister, 1839

世界中に52屬(属)が分布。
複眼は 頭頂部で廣く(広く)接する。
♀は産卵管を持ち、單獨(単独)で産卵する種が多く、卵は細長い。
ぶら下がった形や、立った枝に 横から ひっつくやうな(ような)形で止まることが多い。
大型のトンボのグループ。

本科からTelephlebiidae科(コシボソヤンマ屬(コシボソヤンマ属)を含む)を獨立(独立)させてゐる(いる)研究者もゐる(いる)
Aeshna(ルリボシヤンマ屬(ルリボシヤンマ属))をAeschnaと綴ることもある。


オニヤンマ上科
Superfamilia Cordulegasteroidea Tillyard et Fraser, 1940

 ミナミヤンマ科
 Familia Chlorogomphidae Needham, 1903

アジア・ヨーロッパ・北アメリカに3屬(属)が分布。
複眼は少し離れる。
黒地に黄色い模樣(模様)がある。
かなり大型のトンボのグループ。

本科をオニヤンマ科に包括してゐる(いる)研究者も多い。
本科をトンボ上科に歸屬(帰属)させてゐる(いる)研究者もゐる(いる)


 オニヤンマ科
 Familia Cordulegastridae Calvert, 1893

アジア・ヨーロッパ・北アメリカに4屬(属)が分布。
複眼は 頭頂部の一點(一点)で接する。
黒地に黄色い模樣(模様)がある。色味だけ見れば似てゐるが(いるが)、サナエトンボ[さなへとんぼ]に比べて寸胴な印象。
ぶら下がった形で止まることが多い。
かなり大型のトンボのグループ。


サナエトンボ上科 [さなへとんぼ上科]
Superfamilia Gomphoidea Rambur, 1842

 サナエトンボ科 [さなへとんぼ科]
 Familia Gomphidae Rambur, 1842

オセアニアを除く世界中に93屬(属)が分布。
わりと肢が短め。複眼は少し離れる。
黒地に黄色い模樣(模様)がある。メリハリのある體形(体形)してゐて(いて)優美。
平らな場所に 乘るやうに(乗るように)止まることが多い。
大方、中型のトンボのグループだが、大型のものもゐる(いる)

本科をヤンマ上科に歸屬(帰属)させている研究者もゐる(いる)
コサナエ屬[こさなへ屬](コサナエ属)は 元々、サナエトンボ屬[さなへとんぼ屬](サナエトンボ属)と呼ばれてゐた(いた)


トンボ上科
Superfamilia Libelluloidea Tillyard, 1926

 エゾトンボ科
 Familia Corduliidae Selys, 1871

世界中に39屬(属)が分布。
複眼は廣く(広く)接し、複眼の後側縁に小さい突起がある。
金屬光澤(金属光沢)のある緑色をしてゐる(いる)種が多い。
中型のトンボのグループ。


 トンボ科
 Familia Libellulidae Selys, 1850

世界中に143屬(属)が分布。
複眼は廣く(広く)接する。
枝先を掴むやうに(ように)止まるもの、地面に降りるもの、壁面に張りつくものなど、止まり方には 特に こだはり(こだわり)は無いやう(よう)である。
中型〜小型のトンボのグループ。

本科からウミアカトンボ科Macrodiplactidaeを獨立(独立)させてゐる(いる)研究者もゐる(いる
シマアカネ屬(シマアカネ属)をハラビロトンボ屬(ハラビロトンボ屬)に包括してゐる(いる)研究者もゐる(いる)
ナンヨウベッコウトンボ屬[なんやうべつかふとんぼ屬](ナンヨウベッコウトンボ属)は アカスジベッコウトンボ屬[あかすぢべつかふとんぼ屬](アカスジベッコウトンボ屬)と呼ばれてゐた(いた)時期もあった。


 ヤマトンボ科
 Familia Macromiidae Needham, 1903

世界中に4屬(属)が分布。
複眼は廣く(広く)接し、複眼の後側縁に小さい突起がある。頭部は丸く大きい。
金屬光澤(金属光沢)のある緑色をしてゐる(いる)
大型のトンボのグループ。

本科をエゾトンボ科に包括してゐる(いる)研究者が多い。


ムカシヤンマ上科
Superfamilia Petaluroidea Needham, 1903

 ムカシヤンマ科
 Familia Petaluridae Tillyard, 1917

日本・オーストラリア・ニュージーランド・北アメリカの東部と西部・南アメリカのチリに5屬(属)が分布。
わりと肢が短め。複眼は少し離れる。
♂の第2腹節には耳状突起がある。
平らな場所に 張りつくやうに(ように)止まることが多い。
大型のトンボのグループ。

中世代の地層から、本科のものと思はれる(思われる)化石が多數(多数)見つかってゐる(いる)

本科をヤンマ上科に歸屬(帰属)させてゐる(いる)研究者もゐる(いる)


 
 
 
 ムカシトンボ亞目(ムカシトンボ亜目)
 Subordo Anisozygoptera Handlirsch, 1906

1. 前後の翅の形は ほぼ同じ。
2. 腹部の太さは 一定ではない。
3. 複眼は、顏(顔)の左右に少し離れてゐる(いる)

蜻蛉目(トンボ目)を 均翅亞目(均翅亜目)と不均翅亞目(不均翅亜目)の2つに分け、 本亞目(本亜目)を 不均翅亞目(不均翅亜目)のムカシトンボ上科として扱っている研究者もゐる(いる


ムカシトンボ上科
Superfamilia Epiophlebioidea Pritykina, 1980

 ムカシトンボ科
 Familia Epiophlebiidae Muttkowski, 1910

インド・ネパール・中國(中国)・日本に1屬(属)が分布。
やや毛深い。額は 弧を描くやうに(ように)曲がり 突き出る。
イトトンボではないが 翅には四角室があり、代はりに(代わりに)不均翅亞目(不均翅亜目)が持つ 三角室はない。
羽化は倒垂型。

化石では約50屬(属)が確認されてゐる(いる)

本科をムカシトンボ亞科(ムカシトンボ亜科)とし、アオイトトンボ科[あをいととんぼ科]に歸屬(帰属)させてゐる(いる)研究者もゐる(いる)


 
 
 
 均翅亞目(均翅亜目) / イトトンボ亞目(イトトンボ亜目)
 Subordo Zygoptera Selys, 1854

1. 前後の翅の形は ほぼ同じ。
2. 腹部の太さは ほぼ一定。
3. 複眼が圓く(円く)、顏(顔)の左右に離れてゐる(いる)

休む際には 翅を閉じて止まるものが多い。


カワトンボ上科 [かはとんぼ上科]
Superfamilia Calopterygoidea Selys, 1850

 カワトンボ科 [かはとんぼ科]
 Familia Calopterygidae Selys, 1850

世界中に17屬(属)が分布。
第1側縫線が胸の上までとどく。
翅の模樣(模様)(翅脈)が細かい。
石や葉の上に 乘るやうに(乗るように)止まることが多い。
イトトンボとしては かなり大型のトンボのグループ。


 ハナダカトンボ科
 Familia Chlorocyphidae Cowley, 1937

アジア東南部・オセアニア・アフリカに15屬(属)が分布。
額が前方へ突出してゐる(いる)


 ミナミカワトンボ科 [みなみかはとんぼ科]
 Familia Euphaeidae Selys, 1853

アジアとヨーロッパに9屬(属)が分布。
羽化は倒垂型と直立型の中間的な形。
カワトンボ[かはとんぼ]を小型化したやうな(ような)トンボのグループ。


イトトンボ上科
Superfamilia Coenagrionoidea Kirby, 1890

 イトトンボ科
 Familia Coenagrionidae Kirby, 1890

世界中に88屬(属)が分布。
小さく まとまった感じのものから、イトトンボとしては がっしりしたものまで 幅が廣い(広い)が、モノサシトンボのやうに(ように)か細くはない。
中型〜小型のイトトンボのグループ。

最初はAgrionidaeという學名(学名)が付けられてゐた(いた)
(本科の)エゾイトトンボ屬(エゾイトトンボ属)と(カワトンボ科[かはとんぼ科]の)アオハダトンボ屬(アオハダトンボ属)を まとめてAgrionとしていた時期もあった。


 モノサシトンボ科
 Familia Platycnemididae Tillyerd et Fraser, 1917

アジアの東南部とアフリカに26屬(属)が分布。
腹部が細長く、スっとしてゐる(いる)といふ(いう)よりは ヒョロヒョロっとした印象。
イトトンボとしては やや大きめのトンボのグループだが、繊細。

元々は モノサシイトトンボ科と名附け(名付け)られてゐた(いた)


アオイトトンボ上科 [あをいととんぼ上科]
Superfamilia Lestoidea Tillyard, 1913

 アオイトトンボ科 [あをいととんぼ科]
 Familia Lestidae Calvert, 1901

世界中に9屬(属)が分布。
イトトンボとしては 中型のトンボのグループ。

ホソミオツネントンボ屬[ほそみをつねんとんぼ屬](ホソミオツネントンボ属)を アオイトトンボ屬(アオイトトンボ属)に包括してゐる(いる)研究者もゐる(いる)


 ヤマイトトンボ科
 Familia Megapodagrionidae illyard, 1917

トゲオトンボ科[とげをとんぼ科]を含めると 世界中に43屬(属)が分布。
イトトンボとしては 中型のトンボのグループ。


 トゲオトンボ科 [とげをとんぼ科]
 Familia Rhipidolestidae Silsby, 2001

分類の見直しにより、最近 ヤマイトトンボ科から獨立(独立)

トゲオトンボ屬[とげをとんぼ屬](トゲオトンボ属)を ニセアオイトトンボ科[にせあをいととんぼ科]Pseudolestidaeに歸屬(帰属)させてゐる(いる)研究者もゐる(いる)



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