孵化(=卵から孵ること)したばかりの幼蟲(幼虫)は前幼蟲(前幼虫)と呼ばれ、まだヤゴとは違った姿をしてゐる(いる)。
前幼蟲(前幼虫)が脱皮すると(ヤゴの姿をした)1齡幼蟲(1齢幼虫)になる。
※前幼蟲(前幼虫)を1齡幼蟲(1齢幼虫)とする研究者もゐる(いる)。
たくさん食べて大きくなったヤゴは、脱皮し 古い皮(殼(殻))を脱ぎ捨てる。
脱皮したヤゴは その囘數(回数)に應じて(応じて)齡數(齢数)を増やして呼ぶ
(1齡幼蟲(1齢幼虫)[脱皮經驗(経験)1度] → 2齡幼蟲(2齢幼虫)[脱皮經驗(経験)2度] → 3齡幼蟲(3齢幼虫)…)。
脱皮直後は、まだ體(体)がやはらかい(やわらかい)ので、別の水生昆蟲(水生昆虫)やヤゴに狙はれ(狙われ)やすい。
羽化直前のヤゴは終齡幼蟲(終齢幼虫)と呼ばれるが、終齡幼蟲(終齢幼虫)になるまでの脱皮の囘數(回数)は種類によって異なる。
成蟲(成虫)になる準備が整ったヤゴは、木や草・壁などに登り羽化(=成蟲(成虫)になること)する。
羽化は夜中や早朝に行はれる(行われる)ことが多い。
トンボは不完全變態(不完全変態)なので、蛹にはならない。
※成蟲(成虫)になる前に蛹になるものを完全變態(完全変態)、蛹にならないものを不完全變態(不完全変態)といふ(いう)。
成蟲になれる状態であっても、羽化の時期を逃し、同じ年に生まれたトンボたちから 1年遲れ(遅れ)で羽化するヤゴもゐる(いる)といふ(いう)。
羽化に成功し成蟲(成虫)になったトンボは、蚊・蛾・蜂などの蟲(虫)を食べて生活し、成熟していく。(もう脱皮はしないので、これ以上大きくなることはない。)
成熟したトンボは交尾し卵を産む。そして、力盡きた(力尽きた)トンボは死んでゆく。
成蟲(成虫)になるためには必ず行は(行わ)なければならない羽化。これは、トンボにとって とても難しく 危險(危険)を伴う行動である。
羽化中は天敵に見つかっても逃げることが出來ない(出来ない)。
また、殼(殻)からうまく體(体)が拔け(抜け)なかったり、羽化中に水を浴びて翅がうまく伸びなかったりすると、自然界では生きていけない。
羽化には倒垂型と直立型があり、種類によって羽化の形が違ふ(違う)。
羽化の途中で、ぶら下がった状態で休憩するのが倒垂型。上を向いたまま休憩するのが直立型。
ムカシトンボ・ヤンマ・オニヤンマ・トンボ科は倒垂型、イトトンボ・カワトンボ[かはとんぼ]・サナエトンボ[さなへとんぼ]科は直立型。
カワトンボの中には、倒垂型と直立型の中間的な形の羽化をするものもゐる(いる)。
關聯(関連)ページ: オオアオイトトンボ[おほあをいととんぼ]の羽化(直立型)
關聯(関連)ページ: ヤブヤンマの羽化(倒垂型)
-羽化前のヤゴ-
羽化が近附く(近付く)と、アゴの筋肉が衰へ(衰え)何も食べられなく(捕獲できなく)なる。
右の寫眞(写真)は、羽化直前のヤゴ。筋肉が衰へ(衰え)、アゴは既に拔け殼(抜け殻)のやうな(ような)状態になってゐる(いる)。
同じ頃に氣門(気門)が開き、水面近くや陸上で生活するやうに(ように)なる。
また、翅芽が膨らみ(翅芽が白っぽくなるヤゴもゐる(いる))、複眼も大きくなってくる。
-羽化直前のヤゴ-
羽化の時が來る(来る)と、ヤゴは羽化する場所を探して移動する。自分の住んでいた所から数百mも離れた場所へ移動することもある。
羽化する場所を決めたヤゴは、體(体)を大きく振って周りに障害物がないことを確認した後、羽化の體勢(体勢)に入る。
-羽化直後のトンボ-
羽化の直後は、口が開かないため、しばらく(1〜2日くらい)は何も食べられない。
脱皮直後のヤゴ同樣(同様)、まだ體(体)がやはらかく(やわらかく)、別の肉食昆蟲(肉食昆虫)やトンボなどに狙はれ(狙われ)やすい。
ヤンマなどの大型のトンボの翅を見るとよく分かるが、トンボの翅は 前方(前縁部)の黒い脈(翅脈)は太く硬く、對し(対し)、後方の脈は細かいつくりをしてゐる(いる)。
前方は 風を切る必要がある爲(為)に頑丈に、後方は 無駄な抵抗なく 風を流す爲(為)に柔かくなってゐる(いる)のだと考へ(考え為)られてゐる(いる)。
もっと言ふと(言うと)、前方の脈は 横から見ると山のやうに(ように)ギザギザしてゐる(いる)が、
これは、微かな風でも浮力を生む爲(為)の構造。この窪みに空氣(空気)が入ってくることで 小さな渦が發生(発生)し、それによって生まれる風力を利用してゐる(いる)のださうだ(そうだ)。
風車の研究過程で發見(発見)されたことで、發電用(発電用)の風車の羽にも 應用(応用)されてゐる(いる)。
言はれて(言われて)みれば、確かに、ほとんど風の無い日に 大して羽ばたきもせずに 空中に浮いてゐる(いる)姿は、よく見る。
まぁ 風が無いと言っても、それは あくまでも人間の感覺(感覚)での話で、彼らにとっては十分な風といふ(いう)ことなのだらう(だろう)。
トンボは、違ふ(違う)種類同士で爭っても(争っても)無駄に體力(体力)を消耗するだけだといふ(いう)ことを知ってゐるやうで(いるようで)、(大きさや色などが)自分と似てゐない(いない)トンボならば ♂が入ってきても
追ひ(追い)囘さない(回さない)。
ただ、性格による違ひ(違い)もあるやうで(ようで)、侵入するもの全て(トンボでない蟲(虫)まで)を 追い囘す(回す)♂も稀にゐる(いる)。
個人的に見たことのある 別種間での繩張り爭ひ(縄張り争い)を擧げる(挙げる)と、
ギン 對(対)オオルリボシ[おほるりぼし]、タイワンウチワ[たいわんうちは] 對(対)ハラボソ、タイリクショウジョウ[たいりくしやうじやう] 對(対)ベニトンボ、
ヒメハネビロ 對(対)オオキイロ[おほきいろ] など。爭ひ(争い)といふ(いう)よりは 一方的に 突き飛ばされてるやうに(ように)見えることが多いが。
なほ(なお)、トンボを含めた多くの昆蟲(昆虫)には 太陽を背にして飛ぶ本能がある爲(為)、夜中に 電燈(電灯)の下(もと)で放すと、常に 背中側を明かりに向けようとして ぐるぐる囘ってしまふ(回ってしまう)。
移精や交尾は、飛びながら行ふ(行う)ものと 止まって行ふ(行う)ものがゐる(いる)。また、交尾は 何時間もかゝる(かかる)ものもゐれば(いれば)數十秒(数十秒)で終はる(終わる)ものもゐる(いる)。
産卵は、聯結したまゝ(連結したまま)行ったり(聯結産卵(連結産卵))、聯結(連結)せず ♂が見張ってゐる(いる)(警護)ところで♀が産卵したり、
♀だけで單獨産卵(単独産卵)(見張りなし)したりする。
同じ種類でも、状況やトンボの性格によっては、違ふ(違う)方法で産卵することがある。
飛翔産卵 | 飛びながら | 飛水産卵 | 腹先で水をかいて卵と一緒に飛ばす | |
靜止産卵(静止産卵) | 止まったまま | 接水産卵 | 腹が水についた状態で | |
潛水産卵(潜水産卵) | 水中で | 接泥産卵[挿泥産卵] | 産卵管を泥や砂利に突き刺しながら | |
打空産卵 | 空中を叩くやうに(ように) | 附着産卵(付着産卵) | 水面の植物などに卵をくっつけながら | |
打泥産卵 | 泥を叩くやうに(ように) | 遊離性産卵 | 止まったまま卵を落とす | |
打水産卵 →聯續打水産卵(連続打水産卵) →間歇打水産卵 |
水面を叩くやうに(ように) (聯續(連続)で—) (間歇で—) |
植物組織内産卵 →植物枯死組織内産卵 | 植物の茎などに (枯れた植物の—) |
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トンボは、1度交尾すると終はり(終わり)ではなく、違ふ(違う)相手と何度も交尾し、卵を産む。
アキアカネやウスバキトンボなど(の♀)は、人に捕へ(捕え)られるとびっくりして卵を産んでしまふ(しまう)こともあるが、この卵は無精卵であることが多い。
※無精卵とは、受精してゐない(いない)卵のこと。受精してゐない(いない)ので孵化しない。
トンボは暑くなると逆立ちする(腹を上へ向けた姿勢をとる)。
トンボは變温動物(変温動物)であるため、氣温(気温)が大きく體温(体温)に影響する。
※氣温(気温)によって體温(体温)が變化(変化)する動物を變温動物(変温動物)、
體温(体温)を一定に保つ動物を恒温動物といふ(いう)。
逆立ちすることで、日光の當たる(当たる)面積を減らし、體温(体温)が上がりすぎないようにしてゐる(いる)のである。
ちょっとした小ネタだが、トンボが逆立ちしてゐる(いる)といふ(いう)ことは、
(自分でどう感じてゐるか(いるか)は別にして) それだけ暑いといふ(いう)ことなので、熱中症に氣を附ける(気を付ける)1つの目安にはなる。
トンボが逆立ちしてゐる(いる)時に クラクラしてきたら、
それは 直射日光による一時的な症状であらう(あろう)から 日陰で休めば 囘復(回復)するだらう(だらう)けれども、
トンボが逆立ちしてゐない(いない)のに クラクラした場合、相當(相当)重症と思はれる(思われる)ので 早く病院へ行きなさい、と。
※醫學的(医学的)な話ではないので、あくまでも 參考情報(参考情報)程度に。ただ、いづれ(いずれ)にせよ 炎天下での無理は禁物。