除光液で標本をつくる


實驗(実験)その1

2004年のある日、管理人は除光液にアセトンが含まれてゐる(いる)という情報を入手。
アセトンってあのアセトン?といふ(いう)ことで、後日、100円ショップにて除光液を購入。 確かにアセトンが含まれてゐる(いる)といふ(いう)表示があった。さらに「火気嚴禁(厳禁)」の文字も。引火性の強いアセトンが含まれてゐる(いる)からか。

〜實驗(実験)
容器の材質によってはアセトンが染み込んでしまうらしいので、アセトンを入れるのに適しているといふ(いう)ポリプロピレンの容器を用意。 (實驗(実験)後に知ったことだが、トンボをアセトンにつける時には容器にふたをした方がいゝ(いい)らしい。)

右の寫眞(写真)は除光液に浸けているヒガシカワトンボ。
アセトンに浸ける時は三角紙ごと入れるらしいが、今回は三角紙には入れずに浸けた。


〜結果〜
除光液標本と通常の標本(アセトンに浸けてゐない(いない))を見比べてみた。


ウスバキトンボ↑
左から、死後机の上に放置しておいたもの、除光液標本、通常の標本

ハラビロトンボ↑
左から、通常の標本、除光液標本

ノシメトンボ↑
左から、除光液標本、通常の標本


左から、除光液標本(ニホンカワトンボ[にほんかはとんぼ](當時の和名はヒガシカワ[ひがしかは]))、 通常の標本(アサヒナカワトンボ[あさひなかはとんぼ](當時の和名はニシカワ[にしかは]))
〜分かったこと〜
  1. 除光液に浸けた標本は、翅が艶々しくなった。これは全てに共通しゐる(いる)
  2. 粉を吹いてゐた(いる)ニホンカワ(ヒガシカワ)トンボは、除光液に浸けた後、粉がなくなって(?)しまった。 粉を吹いてゐる(いる)トンボは、アセトンに長時間浸けてゐる(いる)と、粉の色を失ってしまうらしい。除光液に浸けすぎたのだらう(だろう)か。
  3. 複眼の變色(変色)は防げなかった。防ぐどころか、除光液から取り出した時には、すでに變色(変色)してゐた(いた)
  4. 香料が染み附いて(付いて)しまったのか、除光液の臭いがする標本になった。これも全てに共通してゐる(いる)
アセトンに浸した標本とも比較すれば良かったのだらう(だろう)が、私はまだアセトンを使ったことがない。 今回、除光液を使ってみて、"100%のアセトン"も使ってみたいと思った。

〜その他〜
右の寫眞(写真)は、除光液から取り出した直後のノシメトンボ。
複眼の中に蜂の巣のやうな(ような)ものが見える。 除光液に浸したことで複眼1つ1つが拡大されて見えてゐる(いる)のか?(さうだと(そうだと)すれば數(数)が少なすぎるが…)
ちなみに"結果(↑)"で使った寫眞(写真)を撮影した時には、この6角形の集まりは見えなくなってゐた(いた)
未熟なトンボはアセトンに長時間浸してはならないらしい。このノシメトンボ(未熟)は、除光液に何時間も浸してゐた(いた)が、それが原因か。


實驗(実験)その2

トンボをアセトンにつける時には容器にふたをした方がいゝ(いい)と知り、實驗(実験)方法を變えて もう1度やってみた。

〜實驗(実験)方法〜
材質は、容器…ポリプロピレン、そのふた…ポリエチレン。除光液は、100円ショップで購入した 實驗(実験)その1と同じもの。

前回は、除光液が蒸発するまで ほったらかしにしてしまった。今回は、大型のトンボは約2時間、小型のトンボは約1時間、 直射日光の當たらない(当たらない)場所で除光液に浸した。前回同樣(同様)、三角紙には入れずに浸けた。

右の寫眞(写真)は除光液に浸けているウチワヤンマ[うちはやんま]。


〜結果〜
今回の方法では、30體(体)程 標本にした。
前回同樣(同様)、翅が艶々になったことは全てに共通してゐた(いた)。その他 目立った特徴は見當たら(見当たら)なかったため、今回は寫眞(写真)は載せない。
その他の氣附いた(気付いた)ことについては"分かったこと(↓)"にまとめた。

〜分かったこと〜

  1. 色が少し薄くなってしまう(少し白っぽくなる)トンボが多かった。※
  2. "實驗(実験)その1"の時のように除光液の臭いが強く殘る(残る)ことはなかった。※
  3. 複眼の變色(変色)は防げなかった。※
  4. 粉を吹いてゐた(いた)トンボは、粉の白さが無くなってしまった。
  5. 通常の標本の臭ひ(臭い)はしなかった。※
  6. 翅が三角紙にくっつき破れてしまったトンボが何匹かゐた(いた)。※
  7. 翅の色が褪せることは無かった。※
  8. どのトンボも、カラカラに乾燥してゐた(いた)。※
※この印のついているものは、除光液に浸けてから1ヶ月以上後、標本を整理しているときに氣附いた(気付いた)こと。 (浸した直後は無かったこと。)

〜最終的な結論〜
除光液で標本をつくると、
"標本の臭い"は全く無いが、かすかに除光液の臭いが殘る(残る)(ふたをしないと強く殘る(残る))。
乾燥には失敗しない。
翅の色は褪せないが、艶が出る。
粉を吹いているトンボは、浸さない方がいゝ(いい)
少し白っぽくなることがある。
"分かったこと(↑)"には書かなかったことだが、2005年2月10日現在、カビが生えた除光液標本は1體(1体)もない。


2006年7月11日撮影。
タッパーのような容器では、中で氣化(気化)した除光液によって、蓋が持ち上がってくる。 最近は瓶を使うことでそれを防いでゐる(いる)
又、實驗(実験)方法のところに書いてゐなかった(いなかった)が、容器から出したトンボは、表面に殘った(残った)除光液を拭き取ってゐる(いる)


追記
"實驗(実験)その2"の"最終的な結論"に、カビが生えた標本はないと書いたが、2007年7月 除光液標本のカビを確認。
除光液處理(処理)をして1〜2週間の標本十數體(十数体)の一部にカビが生えてゐた(いた)。 高温多濕(高温多湿)の場所(※1)にあったことが原因だらう(だろう)
※1…具體的(具体的)には 夏の沖繩(沖縄)の室内、室内温度は聯日(連日)30℃前後で 濕度(湿度)は70〜80%臺(台)


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